月別アーカイブ: 2021年3月

ワインの販売で、空間と販売コンセプトが繋がっていないとどうなるか?

さて、今回も続いて
1.ショップやコーナー、ブースなどの販売空間(=ハコ)
2.販売コンセプトやブランドコンセプト、ショップコンセプト

についてお話をします。
前回好きなワインを集めてから出来上がった売場に当てはめるのは、危険である。というお話をしました。

今日は、この1と2が繋がっていることが重要とは、どういうことなのか?を見て行きましょう。
今回は逆に繋がっていない例を挙げてみます。
以下のケースを想像してみてください。

熟成ワインや、プレミアムワインなどの高額ワイン「だけ」を扱うインショップ。
・場所は、建築資材専門の郊外型ホームセンターの入口付近の一角。
・照明は蛍光灯のみ。ワインセラーは場所の都合上導入できない。

ワインを扱う人にはモヤモヤする内容ですね。いわゆる突っ込みどころ満載というヤツです。

察するに、この売り場の場合

・オーナーがワイン好きである(高級ワインばかりを飲んでいる)。詳しくはない。

・ワイン販売にも明るくはない。

・「そうだ、あそこの売場が空いているよな。」

・入口だし、目立つだろう、目立てば売れるはず。

・でも売れるかわからないので、とりあえず設備投資はできないな。

・電源工事とかもとりあえずなしでやりたい。

・よし、でもやってみよう、やってから考えることが大事だ。

なんて感じだったんですかね。(あくまでもフィクションです)
早めの立て直しをおススメしたいところです。

まあ、これは極端な話ですが、1.と2.の繋がりを考えず、
「好きなワインを集めてから出来上がった売場に当てはめるのは、危険である。」
という事を少し理解していただけたかな?と思います。
ここまで極端ではなくても、このように、チグハグな印象をお客様に与えてしまうことは意外と多いです。

それでは、次回は、
1.ショップやコーナー、ブースなどの販売空間(=ハコ)
2.販売コンセプトやブランドコンセプト、ショップコンセプト

を繋げる事で、どのようにそれを回避できるか?を考えていきましょう。

ワイン販売の戦略を考えるときに、抑えておくべきVMD(ヴィジュアル・マーチャンダイジング)的最初のポイント 

さて、前回は以下のVMD(ヴィジュアル・マーチャンダイジング)に含まれる主な要素が、しっかりと繋がり、「販売活動が視覚化されていること」が重要であるというお話をしました。

『VMDに含まれる主な要素』

1.ショップやコーナー、ブースなどの販売空間(=ハコ)
2.販売コンセプトやブランドコンセプト、ショップコンセプト
3.品揃え
4.棚割と商品分類
5.商品展開と陳列
6.各ポイントの役割に合ったディスプレイ
7.販促

今回からは、これらが実際に何を指しているのかと、繋げるポイントについてお話していきたいと思います。

さて、今回からの各回は
1.ショップやコーナー、ブースなどの販売空間(=ハコ)
2.販売コンセプトやブランドコンセプト、ショップコンセプト

についてです。

この二つは、ショップや売場の「ブランディング」という点で一番初めに決める必要がある2つです。
また、リニューアルやリモデルなどを行う際にも重要になります。
まず、この2つがしっかりと考えられ、繋がっていなければならず、この2つはこの後に続く3.~7.の要素ではカバーできません。
いわば、戦略の土台となる部分といえます。

ワインショップや売場でよく見かけるのがここを飛び越して、「まずは自分の好きなワインを集めて、それからそれを売場に当てはめる」というパターンです。その気持ちもよーくわかるんです、好きなワインに囲まれる幸せってありますから。わかるんですけど・・。

売場造りでこれをやると、危険なんですよね。
例えば、よく知っている人だけに販売するならそれもありなんじゃない?と思うかもしれませんが、自身が「教祖的に絶大な支持基盤」をすでに持っている以外はまず幻想を捨てましょう。この基盤がある場合逆に、リアルな売場は無くてもいいですね。
体感ですが、最低100~300人ぐらいの支持基盤があれば大丈夫かなと思います。(事業規模によりますが。)

特に今後複数店舗展開を考えている場合はとても重要です。
ここの計画が後の自分を大きく助けるという事、先に言っておきますね。

次回に続きます。

VMD(ヴィジュアル・マーチャンダイジング)って何だろう?(その3)

さて、今回はVMD(ヴィジュアル・マーチャンダイジング)とは、どんな要素を含んでいるのか?
をお話したいと思います。

VMDというと、用語を聞いたことのある人は、商品陳列やウインド・ディスプレイのことを、
一番に思い出すようです。もちろん、それらも重要な要素の一つですが、
VMDにはもっと多くの要素が含まれます。

前回「VMDとは販売を視覚化する戦略」であるというお話をしました。
その戦略のもっとも分かりやすく露出する重要な部分が商品陳列やディスプレイであるのは確かなのですが、それらがしっかりと効果を発揮するには、そこまでの戦略がしっかりと練られていなければただ商品を並べただけと何も変わりがありません。

というわけで、「販売を視覚化する」には、以下の要素がしっかりと戦略的に繋げられ、店頭にて表現されていることが重要です。

『VMDに含まれる主な要素』

1.ショップやコーナー、ブースなどの販売空間(=ハコ)
2.販売コンセプトやブランドコンセプト、ショップコンセプト
3.品揃え
4.棚割と商品分類
5.商品展開と陳列
6.各ポイントの役割に合ったディスプレイ
7.販促

あれ、そんなこと普通に考えているけど?と思った方も多いかもしれません。
そうなんです。

誰しもが、それぞれの項目について販売活動を行う上で、一度は考えたことがあるはず、なのですが、
それぞれが点のままでは、「なにを買える店なのか?=何のためのそこへ行くのか?」がお客様に伝わりにくくちぐはぐな印象を与え、逆効果になってしまいます。

したがって、販売活動においての重要なポイントはこれらをすべてつなげて考え、「販売を視覚化する」という事なのです。

そこで、次回からは、VMDにおいて、これらの要素はそれぞれどう影響し繋がっているのか?を
お話していきます。

 

VMD(ヴィジュアル・マーチャンダイジング)って何だろう?(その2)

さて、前回はマーチャンダイジングについてをお話しました。

ちなみに、マーチャンダイジングとは、

「店頭でのショッパー(買物客)の購買行動を起点にして、商品を運ぶ単位を決定したり、
使う立場、買う立場で購入したくなる価格を決める活動(販売戦略)」でしたね。
平たくいえば、品揃えと価格戦略、販売方法の決める活動だといえます。

今回は、ではVMD(ヴィジュアル・マーチャンダイジング)ってなんだろう?
というお話をさらに進めていきたいと思います。

VMDの’V’はVisualなので、VMDとは「視覚的販売戦略」という日本語に訳すことができます。
では、「視覚的販売戦略」とは具体的にどういうことなのでしょうか?

少し、言葉を入れ替えてこうしてみましょう。
「販売を視覚化する戦略」

少しイメージできるようになったでしょうか?
VMD(ヴィジュアル・マーチャンダイジング)とは、「MDを視覚化する」=品揃えやお店のコンセプト、などをお客様に対して分かりやすく「見える化」し購買を促す販売活動なんです。

お客様へ品揃えを分かりやすくし、使う立場、買う立場で購入したくなる戦略のために、絶大な効果をもつMDです。
とはいえ、品揃えを視覚化するというのは、店頭のディスプレイだけを指すわけではありません。

というわけで、
次回はVMDとは、どんなことをを含んでいるのか?をお話したいと思います。

 

VMD(ヴィジュアル・マーチャンダイジング)って何だろう?(その1)

こんにちは。

下北沢ワインラボの林やよいです。
前回、私がワインの売り方を考えていくときに軸としている、

VMD(ヴィジュアル・マーチャンダイジング)

について名前だけ触れました。
とはいえ、実際それは何なんだろうと思う方がほとんどですよね。

そこで、今日はワインの売り方についての話をする前に、
そもそも、VMDってなんなの?というお話をしようと思います。

その前に、マーチャンダイジング(Merchandising)という言葉、聞いたことありますか?
略してMDと呼ばれることもあります。百貨店や流通にはMD職の方がいたりしますよね。

以下、引用してみましょう。

マーチャンダイジング(Merchandising)

MDと略されることもある。
消費者に買ってもらう商品をつくり、運び、陳列し、最終的に商品を店頭で買ってもらうための活動をいう。

マーケティングとの根本的な違いは、店頭でのショッパー(買物客)の購買行動を起点にして、商品を運ぶ単位を決定したり、使う立場、買う立場で購入したくなる価格を決める活動である点。

マーケティングはつくる立場の技術体系なのに対して、マーチャンダイジングは店頭を起点とした、買う立場、使う立場の技術体系である。

引用元: MD NEXT 流通用語集

 

というわけで、まずワインショップやワイン売場に必要なのはこのMDなんですね。
(ちなみに、メーカーやワイナリーにまず必要なのはマーケティングの方ですね。)
そして、そのMDの手法の一つがVMD(ヴィジュアル・マーチャンダイジング)です。
次回はさらに、もう少しVMDについてお話をしたいと思います。

はじめに

こんにちは。

下北沢ワインラボ 主宰の 林 やよいです。

私はこれまで数々のワインショップやワイン売場の立ち上げ、プロデュース、立て直しなどに携わってきた、
「ワインの売り方」の専門家です。
これから、私がワインショップや売場を造るときの考え方のメソッドとしている、
VMD(ヴィジュアル・マーチャン・ダイジング)
のフレームワークを軸に、それをどう具体的にワインの販売現場に応用していくかを、
ブログとして発信していきます。

この考え方を身に着けると、

・現在の自分のショップや売場の何をどう直せばよくなるの?

・これから新しい売場やショップを造るという際にどのように進めていけばいいの?

・売れるディスプレイ(陳列)ってなに?

・このPOPイケてる?イケてない?なんで読んでくれるのに売れないの?

・どうしたら、お客様がお店に入って来てくれるの?

・展示会でブースに足を止めてもらうには?

・どうやったら、売場造りを感覚ではなくロジカルに他のスタッフに教えられるの?

・人手が足りない!接客しなくても、自然にワインが売れる売場って造れないかな?

などなど、
ショップや売場に関する様々な問題を解決できます。

ワインの知識と、ワインの売り方の知識は全く別な物で、残念ながらワインの売り方についてはまだ日本では誰も深くは考えていないのが現状です。

ロジカルな売場造りで、買い物しやすく、素敵なワインショップや売場が多く登場し、日本でもさらにたくさんのワインが飲まれるようになることを願っています。どうぞご一読ください。